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いつも本ばかり読んでいるわけじゃないけれど。

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柳の下の二匹目のドジョウを狙う。 大ヒット作くどうれいんの『わたしを空腹にしないほうがいい』に続く出版物を作るということはつまりそういうことだ。 だから、いや、そうであるからこそ次が出せなかった。 それは例えるならば最高のファーストアルバムを作ってしまったバンドの苦悩に似ているし、ルーキーが満塁ホームランを打ち上げた後にバッターボックスに入るベテラン打手の心境に近い。 つまり、そういうわけで、次の出版物をリリースするのにおっかなびっくり三年もかかってしまった。 (中略) そうだ、ぼくが自分の本を出せばいい。 自分がプレッシャーを背負ってしまえば失敗しても誰かの出版物がコケるより楽ではないか。それで、その考えを早速実行に移すことに決めたらあとは早かった。ゲラが上がり、表紙が出来上がり、印刷製本のスケジュールが決まった。もう戻れない。もう引き返せない。本当にいいのか、お前。毎朝鏡に向かって語りかける。ああ、戻りたい。引き返したい。心のなかのもうひとりの弱気なぼくが呟く。 岩手県・盛岡に位置する小書店「BOOKNERD」の出版部門の第二冊目として、『わたしを空腹にしないほうがいい』に続き刊行された本書。 著者は、店主の早坂大輔さん。 2019年11月から2020年2月までの間、BOOKNERDのオンライストアで常連のお客さまに向けて配信していた「本にまつわるメールマガジン」の文章9編と、新たに書き下ろされた5編を収録。 本を読むこととその人の人生のある時期が重なり、何を思うか。 それが、実人生にどのように反映するのか。 今回の本で伝えたいことは、本の魅力ではないと早坂さんは言います。手に馴染むサイズで、68ページというコンパクトな長さでもありながら、読書という、読む側の個性や思想が少なからずも投影される体験について綴った、濃くも深い内容がぎゅっと詰まっています。 デザインは、BOOKNERDの出版物でもお馴染みの篠田綾香さん。装画・挿絵は10月にBOOKNERDで個展を予定している画家・坂巻弓華さん。本と共に日々を歩んできたすべてのひとたちへ捧げたい、お守りのようでもある一冊です。

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